住宅街
昔誕生日にもらったぬいぐるみとか
おもちゃのアクセサリーをまだ持っている
泣きわめいて駄々をこねられたわたしを
覚えておきたい
そしてそれをほんとうは許してほしい
今でも
上だけ見てればよかった
誰かを叱ることの苦悩も知らなかった
自分がいちばんよくなれればよかったのに
きみのせいでここにいることに決めた
散歩してたら
どこからか生活の甘いにおいがして
ふと気づいたら夕暮れの日曜だった
洗車しているおじさんは
電車の中のおじさんと違って
とても穏やかで
知らないおじさんの背中に
なんだか泣きそうになった
ぎっしりとつまった生活が
少しずつこの道に漏れ出ていて
わたしはそれを吸って
ちょっと満ちた
きっとどこかで問題があっても
この道は穏やかだった